アハラノフ・ボーム効果による磁気相図

 WKB近似で予想されるパラメーターに対して分子場近似を用いた磁気相図を計算しました(下図)。磁場の効果は、交換相互作用に対するAB効果とゼーマン効果がありますが2次元面と磁場との角度を変えるなどして独立に制御することが可能です。横軸が最小三角形を貫く磁束(磁束量子h/eで規格化)、縦軸がゼーマンエネルギーを三体交換のエネルギーで割ったものです。AB効果によって、交換相互作用の性質が変わり多彩な磁気相図が期待されます。

この計算では2体交換、3体交換、4体交換まで考慮されて、交換相互作用定数の比はJ2/J3=0.61、J4/J3=0.33を用いています。ただし、WKB近似による交換相互作用定数の計算の精度は高くないのであくまでも一例を示しただけだと考えてください。また、平島先生たちの計算では5体や6体の交換も大きいことが示されています。交換経路の面積に関しても不確定な要素があります。分子場計算は、3副格子構造(水色)と4副格子構造(ピンク)に対して行いました。