金属超薄膜の電気伝導

 InAsやInSbなどの劈開表面では、吸着金属原子から電子が供給され2次元チャネルが形成されます (表面2次元系の解説ページ参照)。 一方、GaAs劈開基板などでは半導体側に伝導チャネルは形成されません。 このような絶縁基板は金属薄膜側の電気伝導を調べたい場合に用います。 劈開表面を用いることにより、広範囲で原子レベルで平坦な基板が得られ、 単原子層膜の電気伝導測定すら可能になりました。

単原子層膜の超伝導

左図は、GaAs劈開面上に形成したPb超薄膜の電気抵抗の温度依存性です。 基板の平坦さを反映して、 先行研究では届かなかった、単原子層領域においても超伝導が観測されました。 絶縁基板上に形成された単原子層膜の超伝導は、完全な2次元系ということだけではなく、 空間反転対称性が破れていることからもとても魅力的な研究対象であると考えています。 Pb膜では、右図に示したように、薄膜に平行にかけた磁場に対する超伝導転移温度の変化が 非常に小さくなることが明らかになりました。 この平行磁場の自乗に比例する超伝導転移温度の減少は、 空間反転対称性の破れた2次元系に対して予想されていた新奇な超伝導相を 考えることにより定量的に説明されています。


  

T. Sekihara, R. Masutomi, T. Okamoto, Phys. Rev. Lett. 111 (2013) 057005.
T. Sekihara, T. Miyake, R. Masutomi, T. Okamoto, J. Phys. Soc. Jpn. 84 (2015) 064710.
岡本、枡富, 固体物理 52 (2017) 41.
など。